歯周病治療

院長より

歯周病は、初期には自覚症状がほとんどない状態で進行していくため、気づいた時には既に重度の症状になっていることがあります。そのため、ご自身で病気を判断するのは難しい場合があります。歯科医院での早期の検査と治療が重要です。

定期的なメンテナンスに通っている場合でも、なかなか改善が見られない場合や、他の歯科医院で抜歯が提案された場合など、歯周病でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。専門的な診断や治療を提供することで、歯周病の進行を遅らせたり、重篤な状態を防ぐことができます。早めの対応が重要ですので、お早めに専門家にご相談ください。

歯周病のセルフチェックをしてみましょう

  • 朝起きたら口の中がネバネバする
  • ハミガキの時に血が出る
  • 歯茎が腫れて赤い
  • 歯がグラグラと揺れる
  • 歯と歯の間に食べ物がはさまりやすい
  • 口臭が強い
  • 歯茎が下がり歯がのびたように見える
  • 硬いものを噛むのが辛い

日本人の歯を失う原因1位

歯周病は、歯を支える歯ぐきや骨(歯槽骨)などが歯周病菌に侵されることにより破壊され、やがては骨を溶かしていく(退縮)病気です。最終的には、歯が抜け落ちることもあります。

多くの場合、歯周病は自覚症状がほとんどなく進行していきます。そのため、気づいた時にはすでに進行が進んでいる場合があり、手遅れになることも少なくありません。30歳以上の成人の約80%が歯周病に罹患しているといわれており、定期的な歯科検診と適切な治療が重要です。早期発見と適切なケアにより、歯周病の進行を防ぎ、歯を健康に保つことができます。

 

歯周病の進行と症状

軽度

歯ぐきに炎症が起きて歯石がたまります。

  • 歯ぐきが赤くなっている
  • 歯磨きをすると出血する
  • 歯ぐきに違和感を感じる
中度

炎症がさらに拡大していきます。
歯を支える骨(歯槽骨)が破壊され、歯が動揺(ぐらつき)し始めます。

  • 歯ぐきが時々腫れる
  • 歯ぐきから血や膿が出る
  • 歯が浮いたような感じがする
  • 口臭がある
重度

歯槽骨が大きく破壊され、歯が抜けてもおかしくない状態になります。

  • 歯ぐきがブヨブヨ
  • 血や膿が出る
  • 歯がグラグラする
  • 口臭が強い
  • 食べ物が噛みづらい

歯周病の検査方法

プロービング

プロービングは、歯周ポケットの深さを測定するために行われる歯科検査の一つです。プローブと呼ばれる細長い器具を使用して、歯と歯ぐきの間のスペースである歯周ポケットの深さを計測します。このプローブは、歯周ポケットに沿って挿入され、歯と歯ぐきの間の深さを測定することができます。この測定により、歯周病の進行具合や治療の必要性を評価することが可能となります。

X線検査

歯周病による歯槽骨の破壊の程度を確認するために、X線画像やCT撮影などの画像診断が行われます。

X線画像を使用することで、歯槽骨の破壊の程度や歯周ポケットの深さ、歯の根の状態などを評価することができます。X線画像は比較的簡便で広く使用されていますが、歯槽骨の破壊が進行した場合や、より詳細な情報が必要な場合には、CT撮影が選択されることもあります。CT撮影は3次元の画像を提供し、歯槽骨の状態をより詳細に評価することができます。

これらの画像診断を通じて、歯周病の進行状況や治療の必要性を適切に判断し、適切な治療計画を立てることが可能となります。

口腔内写真

口腔内写真を撮影することは、歯科治療において重要なツールの一つです。口腔内写真を撮影することで、歯茎の色や腫れ、出血などの状態を記録し、治療の進行や結果を視覚的に確認することができます。

口腔内写真を定期的に撮影することで、治療前と治療後の歯肉の状態の変化を比較することができます。また、歯周病の進行や治療効果の評価にも役立ちます。写真を通じて患者とのコミュニケーションも円滑になり、治療計画や予後についての理解を深めることができます。

口腔内写真は、患者の状態を客観的に把握するための貴重な手段であり、歯科治療の成功に向けて重要な役割を果たします。

歯周病の治療

ブラッシング指導

ブラッシング指導は、歯周病の予防と治療において非常に重要です。口腔内を清潔に保つために、適切なブラッシング方法を正しく理解し、実践することが必要です。自分で磨いたつもりでも、実際には効果的なブラッシングができていないことがあります。

ブラッシング指導では、患者一人ひとりの口腔内の状態や歯並び、歯ぐきの状態などを考慮し、適切なブラッシング方法を指導します。歯ブラシの選び方や使い方、ブラッシングの際の角度や圧力、歯と歯ぐきの境目などのポイントについて丁寧に説明し、実践的な指導を行います。

正しいブラッシング方法を習得することで、歯垢やプラークを効果的に除去し、歯周病の予防や治療につながります。患者が自宅で行う日常的なケアの重要性を理解し、実践できるようにサポートすることが、ブラッシング指導の目的です。

スケーリング・ルートプレーニング

スケーリング・ルートプレーニングは、歯科医院で行われる歯周病治療の一つです。この治療では、専用の器具や機械を使用して、歯に付着した歯石を除去し、歯の表面や歯ぐきの根元を滑らかにします。

歯石の除去とともに、歯ぐきの炎症を抑える効果も期待されます。特に軽度の歯周病の場合、スケーリング・ルートプレーニングによって歯ぐきの健康状態が改善され、症状が軽減することがあります。

この治療は定期的に行うことで、歯周病の進行を抑制し、歯を健康な状態に保つことができます。重度の歯周病の場合にも有効な治療法の一つですが、必要に応じて他の治療と併用されることもあります。

歯周外科処置

スケーリング・ルートプレーニングが十分な効果を示さず、または進行した歯周病の場合、歯周外科手術が検討されることがあります。

歯周外科手術では、歯ぐきや歯槽骨に異常がある部分を治療するためにさまざまな手技や手術が行われます。例えば、歯ぐきの切除や再形成、歯周ポケットの浅い化、歯槽骨の再構築などが行われる場合があります。また、歯を支える組織の再生を促進するために、歯周再生手術や骨移植などの手術も行われることがあります。

歯周外科手術は、歯周病の進行を止めるだけでなく、歯の健康や機能を回復させるために重要な役割を果たします。歯科医師が患者の状態や治療の必要性を評価し、適切な手術方法を選択します。手術後は、適切なアフターケアが重要となります。

定期的な治療

治療が終わった後も、歯周病の再発を防ぐためには定期健診が重要です。通常は、3~6ヶ月ごとに歯科医院を訪れ、歯周病の状態を定期的にチェックします。歯周病は再発しやすい病気であるため、定期的な健診は非常に重要です。

再発を防ぐためには、毎日のホームケアが欠かせません。適切なブラッシングやフロス使用などの口腔衛生管理を徹底し、歯垢や歯石の蓄積を防ぐことが重要です。

また、プロフェッショナルケアーも再発予防に有効です。スケーリングやPMTC(プロフェッショナルメカニカルクリーニング)などの専門的な歯周治療を定期的に受けることで、歯周病の再発リスクを低減することができます。

ホームケアとプロフェッショナルケアーを組み合わせることで、歯周病の再発を防ぐための効果的な対策が可能となります。